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SEIKO CREDOR ジェラルド・ジェンタモデルCal.9661の修理

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今回修理する時計は少々曰くのある時計です。

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セイコークレドール、1980年代頃の製品です。
デザインを見てオーディマピケのロイヤルオークに良く似てるなと思った人はかなりお目がお高い。





ロイヤルオーク1972
デザイナーはジェラルドジェンタ。セイコーの高級ライン、クレドールのスポーティモデルの商品のデザインも手掛けていました。
年代的には多分ロイヤルオークが先、このモデルは後になると思います。

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見ての通り、新品の頃のシールもそのまま。
傷もないし、もともとの箱も付いているし、多分ほとんど使われなかったのではないでしょうか?

この時計の曰くの詳細はと言いますと・・・
まず私はヤフオクでジャンク品として7000円で落札しました。
後から見てみると出品者はマイナス評価が多かったものだから、しまったな・・と思いました。
この商品も更に前の出品者(仮にAさんとします)からこの出品者(仮にBさんとします)がネットオークションで買ってすぐに放出したもののようです。
出品者のマイナス評価の一つにこの時計の事が出ていまして。

Bさん「稼働品と言うことで落札したのに到着時動いていなかった。電池交換をしても動かない、返金しろ!」

Aさん「発送時ちゃんと動いていた。複数で確認した。中を分解しているのなら受け入れられない。マイナス評価も多い人間の言うことは信用できない。」

Bさん「時計の電池の周りが焼けている。(電池が液漏れを起こしたという意味)。最初から動いていなかったはずだ。」

Aさん「詐欺師呼ばわりをするのは止めろ。貴殿は時計を多数出品しているが、動かない機械と入れ替えて返品を迫っているのだろう。」

こんな応酬があったようで、それで安かったのに誰も落札しなかったわけね・・・








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それでは、いったいどちらが正しいのか、調べてみよう。
まずはケースを取り出します。

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こうやって見てみると、確かに電池が液漏れを起こした跡がある。
(電池の液漏れ;放電した電池を長く入れっぱなしにしておくと起こる現象です。たまにしか身に着けないクオーツ時計で、止まったのに気づかないとこんな事が起こってクオーツ回路がショートを起こす原因となりました。近年の電池は改良されて、液漏れが起こりにくくなっているようです)

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取り敢えず、バラバラにした状態です。

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人差し指の右側にある黒いものがステップモーターです。

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それではセットします。

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カチャッ!と、ステップモーターを含めた輪列を組んでおいて・・・

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このようにします。
この時点では歯車一つだけはまだホゾに入っていない状態です。

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そして文字盤側を上にします。

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ここまで組んで初めてすべての輪列のホゾが入ったことになります。

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後は簡単、回路を組んで行って・・・

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電池を入れて試運転。さあどうか!





動きました!!!

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後の組み立ての様子は省略してしまいましたが、出来上がりはこんな感じ。

全く問題なく、非常に正確に動いています。

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さてさて・・考察に入ります。
この時計が届いたとき、出品者のBさんからこんな手紙が入っていました。
文面は非常に丁寧だし、あんまり悪意がある人には見えない・・・

それではその前の出品者のAさんが嘘つきだったのかと言うと、多分そうではないと思います。

私の推測ですが、多分この時計はAさんからBさんに送られるときは確かに動いていたのです。
そして到着した時、運悪くたまたま機械が長らくオーバーホールを受けていなかったため、止まってしまったという事が予想されます。

なぜならこの時計、セイコーの製品と言っても最高級のクレドールシリーズ。しかもツインクオーツ。
修理代はかなり高額のはずです。クオーツは止まる寸前まで正確に動き続けます。
1980年代にデパートだかどこかだかで売られ、その後約30年間1度もオーバーホールを受けたことが無いからたまたま止まったものと思われます。

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その証拠に機械の部品を洗った皿を手で拭うとこれだけ汚れがついて来ました。
スクリューバック、ねじ込み式竜頭でこれだけ汚れていたわけです。

元の出品者のBさんに教えてあげようかと思いましたが、やっぱりそっとしておいた方が良いのかなと思ってそのままにしました。
確かこの時計は新品当時は25万円くらいしたと思います。7000円と送料、自家製修理で今も正確に時を刻んでいます。
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コメント

非公開コメント

No title

わ、すごい高級品、復活、ですね。
ボートさんでないとできない技だなあ。
組み換えできない人はやはり廃棄、、、でしょうね。

Re: No title

サッピエロさん、こんにちは。

製造後30年も経てば、1度はオーバーホールしないと使用に耐えられないでしょうね。
クレドールだから、オーバーホール代金ものびのびと高いはずだから、30年前の時計にそこまでお金を使うかと言う事と、メーカー側も補償の問題からあまりしたがらないと言うのも問題になると思いますよ。
クオーツ回路部分は生産していないし、セイコーもストックしていないと思うのです。
プロフィール

U-BOAT

Author:U-BOAT
福岡県出身。縁あって静岡県浜松市に住み着いて10年になります。
いろいろなことに挑戦してみたいという気持ちは常にありますが、実力が伴っていません。
凝り性ではありますが、ネットの世界では私よりも知識の深い人はいくらでも居ます。
趣味も旅行を始め、多岐に渡ります。ジャンルにとらわれない少しばかり濃い目のブログを作っていきたいと思います。
ご指導、ご鞭撻よろしくお願いします。 2010年8月

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